第443話 ■ストロベリー・オンザ・ショートケーキ

 最初このドラマを見始めたときは、このドラマタイトルが何を意味しているのか分からなかった。滝沢秀明と深田恭子が主演する、金曜日のドラマのことである。ついでに言うと、ドラマの設定も知らずに見始めた。彼ら二人はそれぞれの親(永島敏行・岡田奈々)が結婚したことによって、血のつながっていない兄妹になった。

 さて、皆さんは好きな食べ物を先に食べる方だろうか?、それとも最後までとっておくだろうか?。実はこの心理がドラマのタイトルには込められている。先に食べる方は恋愛に積極的、後から食べる方が恋愛に消極的、というわけだ。それがショートケーキの上の苺に例えられている。ドラマ自体はこの複雑な関係を背景にした三角関係がテーマであるが、この設定といい、未成年者の心情を描き出すという点、それに何よりこのタイトルが野島伸司らしいドラマだ。ドラマタイトルは彼自身が考えたものでないかもしれないが、このタイトルと設定が決まれば脚本家として彼を選ぶことは当然のことだろう。

 苺を先に食べるか?、最後までとっておくか?。タッキーは深キョンのことが好きである。しかし深キョンはその気持ちに気づいていない。タッキーは苺を最後までとっておく少年として描かれ、一方深キョンはあこがれの先輩に積極的にアプローチする、苺を先に食べる活発な少女として描かれている。また、隣の家に住む幼なじみの内山理名演じるクラスメイトがタッキーのことが好きで、ここに三角関係が存在している。ドラマはこの後どんな展開を見せ、どのような結末を迎えるか分からないが(野島作品はハッピーエンドとならないケースもある)、現実社会では恋愛に消極的なことで良い結果が出ることは少ないような気がする。明日はバレンタインデー。皆さんのストロベリーはどうなることか?。まずはかじってみるのが良いような気がする。

(秀)