第1132話 ■ちょっとした構想について

 うっかりしていて気が付いたら、私が秀コラムを書き始めて丸5年が過ぎ、6年目に入っていた。当初掲げた「いつかは本に」という願いは、私のコラムを目にした出版社の厚意でことのほか早々に達成してしまった。しかし、パソコンで読めない人への紙媒体と言いながらも販路がインターネットに限られるという矛盾があった。そして、出版元の事業撤退があり、私の本もあえなく絶版となってしまった。

 続きも何とか刊行したいなあ、と思いつつも、流通販路や自腹を切った場合の負担を考えるとそう思いのままにもいかない。しかも、Webで読めるものを単に紙に印刷しただけでは読者の懐から幾ばくかのお代を頂戴するのも難しい。

 本来私が当コラムを書き始めたのは、記憶にあるうちにいろいろと昔のことを忘れないように書き残しておこう、というものだった。よって、私が最も得意とする分野はここである。一旦、全てのネタが尽きたようになっても、子どもと一緒に話したり、遊んだりしたタイミングで忘れかけていたようなことを思い出し、書き残せたものもある。

 だったら、一度このカテゴリーの話を時系列的に並べなおしてみたらどうだろうか?、という気がしてきた。生まれてから(そんな直後の話はないけど)昭和の終わりまでをコラムで綴ってみたらどうだろうか?、という気がしてきた。丁度私の場合は昭和と平成の間に学生から社会人、田舎暮らしから上京、という断層がある。

 「コラムで綴る ぼくらの昭和史」。変にキーワードやデータに執着しすぎると世にあまたある年代本にはかなわないので、あくまでもコラムを主軸に、その時代を裏付けるような材料としてキーワードやデータを使う程度で考えている。大幅に書き換えや書き足しの必要もあるだろうが、ある程度まとまった形になったら出版社に売り込みに行ってみようか。それが6年目の目標。

(秀)