第1148話 ■社内川柳

 会社にはいろいろな部署が存在する。名刺交換をしても、それが何をやっている部署なのか、別の会社の人には分からなかったりする。この傾向は、横文字の部署名に多い。それでもビジネス上で接触するかぎりはまだ大丈夫だが、同窓会の席や年老いた自分の親に説明するとなると結構大変なことになる。「営業部」、「総務部」なんて表現はベタではあるが、分かりやすくはある。

 一方、自分の勤めている会社にもよく分からない部署名というのがある。しかしその実、組織名はコロコロ変わってもメンバーは同じであったり、各人の仕事はそのままだったりする。当人もそんな言い訳を毎回繰り返さなくてはならず、結構面倒なようだ。

 組織の名前はさておき、やっている仕事が変な部署もある。会社の利益への貢献など全くない、そんなある部署から全社員へ一括同報でメールが送られて来た。標題は「社内川柳コンテストの結果報告」。これに先立ち、業務改善の川柳の募集が行われていた。入選作品を見たが、これが面白くもなんともない。単なる五七調のオヤジギャグだ。

 こんなつまんないことを仕事としてやっている人がいて、メールの本文から嬉々として(実際はどうだか知らないが)、この川柳のコンテストを盛り上げていこうという雰囲気が発せられていることが、逆に痛々しい。こんな不毛なコンテストを直ちに止めることが何よりも業務改善であるのに。「この会社は大丈夫か?」、と思うか、「まだこんな無駄なことをやってる余裕があるんだ」、と思うか。会社とはそんな不思議な所だ。別の意味で面白いので、こんなメールも捨てずに保管しておくことにした。

(秀)