第1166話 ■コンバース

 我々の青春期を語る上で、欠かすことのできないアイテムである、と先日里帰りした際に仲間内での結論に達した。コンバースのバスケットシューズ。特にそのハイカット。本来バスケットシューズでありながら、卓球部も軽音楽部も帰宅部まで、猫も杓子も当時は大人気で圧倒的に通学靴として消費されていた。

 私の記憶が確かであれば、当時、ハイカットは7,800円、ローカットは7,500円だったはず。ハイカットは星のマークが印象的で誰が見てもそれと分かるが、わざとそれがくるぶしの内側の部分にプリントされるという、謙虚さも私には好印象だった。ただし、この靴はローカットでさえ、靴紐を結んだままでは脱ぎ履きができず、面倒なのでローカットの踵をつぶして履いたりもしたが、さすがに7,500円を買ってすぐに踵をつぶすことはできなかった。それどころかボロボロになっても次のを買うまでは履き続ける愛着と言うか、もったいなさへのしつこさもあった。

 これが今ではかつての半額くらいで買える。世間一般でのデフレによるものとはレベルが違う。それにともない、あの有り難味は今では完全に失せてしまっている。数年前にも買って履いてみたが、かつての感動など微塵もなかった。しかし、安売りされているとは言え、スーパーの靴売り場などでその姿を発見すると懐かしくてちょっと嬉しい。

(秀)