第1174話 ■透明ランナー

 私たちが子どもの頃、最もメジャーなスポーツは野球だった。かと言って、1チーム9人が揃って試合がいつも行えるわけではない。むしろ逆にもっと少人数で多少の空き地があれば手軽にできる点が、野球が身近なものであった証拠と言えるかもしれない。極端な例では二人で1対1で野球ができた。

 ここでうまく人数が偶数であれば良いが、奇数の場合は一人がどちらのチームにも属さず、「万年キャッチャー」という役割を演じたりする。一方、プレイする側も人数が足りないので忙しい。最も大事なのはピッチャーとバッター。1対1だと、これ以外の設定はない。ボールを見逃すとバッターが拾いに行かねばならない。このため、カウントはあまり進まず、早打ちになる。

 うまく打ち返したら、守備はピッチャー一人。ボールを拾い、走るバッターランナーにボールをぶつける。もちろん、当たっても痛くない、軟らかかったり、軽いボールである。セーフになったら、ランナーはまた、元のバッターボックス(実際にそんなものはない場合が多い)に戻ってバッターになる。よって、ランナーは「透明ランナー」となる。透明ランナーが今どの塁にいるのかを都度確認しておかないと混乱する。基本的に透明ランナーの動きはバッターランナーと平行して動くルールになっている。

 この他にも特別ルールとしては「三角ベース」や「2アウトチェンジ」というのがあったなあー。

(秀)