第1204話 ■最近のドラマ動向

 最近のドラマを見てのこと。世の中が不景気なときはハッピーエンドのドラマがほとんどであるとこれまで主張してきたが、その状況はいまだに変わらない。ただ、その中身をつぶさに確認すると、手放しでのハッピーエンドと言うわけではない。ドラマのスタート時点から幸福度は最初の数回の放送で急速に毀損され、様々な困難が主人公を襲う。そして最終回に向け、回復を見せる。

 ここで幸福度をスタート時点のそれと最終回のそれで比較してみると、前者の幸福度が高いことが多い。ハッピーエンドと言いながらもそれはその数回前の放送分のどん底から上向いたという意味のハッピーエンドでその間に主人公はいろいろなものを失っていたりする。教え子が覚醒剤で逮捕されようとも卒業式でハッピーエンドの金八先生みたいに。終わり良ければ全て良し、ということで片付けられてしまう。

 一方、ストーリー展開がやや複雑になっていて、全体を通して二ひねりが必要になってきた。当初のトラブル・不幸を上回るトラブル・不幸が主人公を襲う。そうなると最初の時点で展開を予想することが難しい。例えばそれは「Mの悲劇」。当初の悪人は長谷川京子演じる女性であったが、今や更なる悪人が稲垣吾郎を苦しめる。

 それに引き換え、恋愛ドラマは不作。出演者のネームバリューに依存しすぎで中身が希薄。ストーリー展開も単調。恋愛ドラマのパターンがほぼ出尽くしてしまったせいだろう。

(秀)