第1208話 ■ポキさん

 私が通っていた中学校は付近の3つの小学校から生徒が集まってきていた。私立の中学校なんてないから、まずほとんど小学校から自動的にその中学校に送り込まれる。このため、小学校でのキャラクターやポジションというのは、これまたほとんど同じ形で中学校に持ち込まれるが、小学校をまたいだ部分から次第に変化し、新たな形へと築き上げられる。例えば、呼び名。小学校のときとは変わってくる。

 新たなニックネームは別の小学校から来た者によって付けられることが多い。1年生のとき、同じクラスに別の小学校から来た、非常に痩せた少年がいた。身長は普通に真ん中くらいだが、体重はクラスで一番背が低い者より軽いに違いない。手足が特に細く、体操服になったときにはそれが顕著である。おまけに色も白い。

 そこで彼に与えられた新たなニックネームは「ポキさん」。あまりにも細いその手足がちょっとのことで折れそうだというイメージを表現している。誰が名づけたのかは覚えていないが、少なくとも彼は3年間、ポキさんと呼ばれた。なかなかのセンスだと今でも思う。

 別に彼は病弱であったわけではなく、バスケットボール部で3年間がんばった。まあ、その間も相変わらず細いままであったが。卒業写真の部活のページにはタンクトップに短パン姿の細い彼の姿が残っている。今も元気かな?。

(秀)