第1230話 ■サマータイムマシン・ブルース(芝居)

 今日は夏休みに見に行った芝居について書きたい。近々に「サマータイムマシン・ブルース」という邦画が全国的に封切られ、それに注目しているところに、その原作が芝居として公演(再々演)されているのを知り、それを下北沢で見てきた。ヨーロッパ企画という若手の劇団だ。

 ある大学のSF研究会の部室でクーラーのリモコンを壊してしまった。そんなとき何故か部室にタイムマシンらしいものが置かれている。冗談だろうと面白半分にいじっていたら本当にタイムスリップしてしまい、これが本物のタイムマシンであると分かった。そこで彼らは昨日に行って壊れる前のリモコンを持って来ようと考える。というのが、前半のストーリーのあらましだ。

 登場人物はそれぞれ今日の自分と昨日の自分を演じる。一旦舞台から消えたと思ったら、すぐに昨日の格好で現れたり、逆に今日の格好に戻ったり。息を切らして現れるのも観客の笑いを誘う。舞台はこのリアルタイムでの間が面白い。後半、タイム・パラドックスに抗して、歴史を戻すために登場人物たちは昨日と今日の間でドタバタと動き回る。しかもそのパラドックスの原因がクーラーのリモコンと非常に些細なものであることが面白さに拍車を掛ける。たかがリモコン。しかしそれで歴史が変わってしまうと。

 この芝居が「踊る大捜査線2」などの本広監督の手により、今度映画になる。舞台ならではの面白さを、映画としてどう表現しているのか非常に気になる。封切りが待ち遠しい。騙されたと思って映画館に足を運んでみて欲しい。DVDとなってからのレンタルでも良い。ぜひ見て欲しい。映画館にクーラーのリモコンを持って行けば入場料が割引になるところがあるらしい。こんなセンスも大好きだ。会場で買った再演の際のDVDを見ながら映画を心待ちにしている。

(秀)