第1231話 ■公示前日

 刺客に新党と活字は踊っているが、いずれも内容に乏しい。新党に至っては選挙後に崩壊しているに違いない。刺客についても迫力がない。運よく元自民党勢力に競り勝つことができても、結果として票を分け合い、民主党の候補者に良いところを持って行かれ、敢え無く相打ち、討ち死に、となりかねない。

 外資系証券会社の女性部長が刺客として送り込まれても恐るるに足らない。自民党の看板を背負っていても、地元では従来の造反議員の顔の方がやはり利いている。刺客と言えば格好良いが、そのほとんどは噛ませ犬だ。有名人ならまだしも、どんな立派な経歴を持っていようと、そんなもんは投票を決める際の項目のずいぶん後の方にしかない。ホリエモンも実際に投票に行く人々の層からは好感を持たれていないし。

 アナウンス効果というのがあって、特に選挙戦後半のマスコミの情報に対し、有権者が逆の反応を示すことがある。今回はかなり与野党が伯仲しそうなだけに、その影響が気になる。早くも「自民単独過半数」なんて見出しを付けたタブロイド紙が出たりしたが、これが大手マスコミの報道であれば、有権者の票は反自民に少なからず流れることだろう。ここに来て自民党幹事長が消費税増税のことを(うっかり?)口に出してしまった。この影響も軽視できない。

 これらの影で革新勢力の衰退が避けられない。政権に関わることが難しい、社民党と共産党。社民党は党の存在自体に影響が出るような壊滅的な結果となりかねない。共産党についてもテレビCMで「憲法9条を守る」みたいなことをPRしているが、それは前回の社民党も掲げたスローガンだ。世間的な関心とは無縁でこのとき社民党は大敗北を喫したのに。お題目のように「増税反対!」とだけ言った方がまだ良かろうなものを。

 読者諸氏よ、騙されてはならない。今回の選挙は郵政民営化の是非を問う国民投票的な選挙ではない。久しぶりに体験する政権選択選挙だ。投票率は従来よりも上がりそうだが、その高投票率で利するのは与党か?、野党か?。私の現時点での予想では自民党+公明党で過半数に届かないと踏んでいる。

(秀)