第1257話 ■野球盤

 野球をモチーフにしたおもちゃは数多くあると思うが、忠実な再現性という意味では単純ながらこのエポック社の野球盤が一番だろう。また知名度も高い。私も小学生のときにどうして必要と思ったのか分からないし、それほどの野球少年ではなく、プロ野球のナイター放送は嫌いだったはずなのに、何故かこの野球盤を買ってしまっていた。

 当時、この野球盤は2つのグレードがあり、私が買った方は安いほうのCタイプ。値段は千円台の後半だったと思う。一方デラックスタイプのAタイプは三千円くらいだったような。豪華版の方が若干盤がでかく、守備やランナーの人形がしっかりしているのと、得点掲示板が機能すること、それにバッターが左打ちにも変更できた。

 消える魔球という機能があり、ホームベースの前でボールが下に落ちて打つことができなくなる。ちなみに消える魔球は見送るとボールとなる。この消える魔球をめぐってはトラブルが絶えず、1イニングに使える回数を制限したり、そもそも使用を禁止するなどの特別ルールが登場した。私が兄と遊ぶときは消える魔球は禁止の上に、ピッチャーが投げるタイミングが分からないため、投げる際には「はい」と声を掛けるルールとなっていた。

 この野球盤は何度かモデルチェンジを繰り返し、ピッチャーが連投できるような仕掛けが付いたり、東京ドームがオープンした際には多少小ぶりになって、それを模した透明のプラスチックカバー付の東京ドームモデルなるものも登場した。一時期販売を中止していた時期があったようだが最近また復活している。最初のモデルは昭和33年の発売らしい。映画「ALWAYS 三丁目の夕日」でクリスマスプレゼントとして登場していた。昭和33年、まさに旬なおもちゃだったようだ。

 これまたどういうわけで買ってしまったのか分からないが、今私の手元にはネットオークションで買った当時のAタイプの野球盤がある。

(秀)