第126話 ■占い中毒

 相変わらず私の周りにも占い信奉者が後を絶たない。よくよく彼女たちの主張を聞いてみると、占いが科学的である必要などなく、「何故だか当たる」といった、オカルティックな部分に価値を認めているらしい。占い屋に行って座るやいなや、「あなたは何か悩み事がありますね」と言われようものなら、「当たってます!」と答え、相手のペースにはまってしまうのだろうが、悩みや相談事があるから占い屋に行くのであって、当たるとか当たらないとか以前の話であろうに。「あなたのお父さんは亡くなっていませんね」と尋ねられると、「死んではいない=存命」、「亡くなったからいない=死亡」のどちらにも聞き取れるわけで、一旦、「はい」という返事を返した時点で相手の術中にはまってしまっている。何人か連れだって占い屋へ出かけるとなると、他人が「当たってる」と言い出そうものなら、集団催眠のごとく、「自分も当たっているのかもしれない」と思い込んでしまっているかもしれない。始めから全く占いなど信じない人は最初からそのような場所に足を運ぶことがないだろうから、そこに来た時点でその人はそのような影響を受けやすい人と推測される。

 まあ、この程度の人なら、一般生活において他人に迷惑を掛けるわけでもないから放置しておいても構わないだろうが、何事も度を過ぎると良くない。その日の運勢で「その仕事は今日はできません」と言い出したり、「今日は外出すると危ないので、会社休みます」と言うような人があながちいないわけでもないらしい。先日「タモリのジャングルテレビ」でそんな人が紹介されていた。彼女は運勢に従い、その日外出をしなかった。また、現在彼氏はいないが、理想の彼氏の条件というものを持っていた。しかし、それは容姿や好みというものではなく誕生日と血液型である。それ以外ではダメらしい。そんな彼女が友人と一緒に街でナンパされるシーンのVTRが出てきた。彼女はまず、その男性に誕生日と血液型を聞くのであった。たまたまその男性が彼女が探していた条件に合っていることが分かると、それだけで相手に付いていこうとしていたが、しばらくして翻意し、ナンパを断った。さて何故でしょう?というのが番組でのクイズだ。その答えは「その男性にキツネの霊が付いていたから」というものだったが、ナンパ師らしく、いっそオオカミの霊でも付いていた方が格好良かったかもしれない。