第1375話 ■家電販売店の転換点

 秋葉原の電気街に活気がない。目立つのはオタク系の店ばかり。パソコンはラオックスコンピュータ館の閉店もあって、全体的に低調。その代わり、裏通りでは小ぢんまりとした中古のパソコンショップが増えた。その他の家電については一部の店で販売しているが決して安くはない。

 秋葉原がこんな感じになったのはヨドバシカメラの秋葉原進出がきっかけだったと思う。人の流れが変わってしまった。秋葉原電気街は夜早く店が閉まる。そのくせ、店が開くのが遅い。11時からの営業開始で、夜は遅くとも8時にはほとんどの店が閉まってしまう。それに引き換えヨドバシカメラは開くのも早いし、夜は10時まで営業をしている。おまけに値段も安い。既に秋葉原の家電などの価格は安くなくなっている。もちろん、インターネットで価格情報等が容易に手に入るようになり、通販で手軽に買える様になった影響も大きい。

 家電業界ではここ数年、大きな変化が起きている。大手の郊外型の店はそれまで郊外にとどまってきたが、それが駅前へと進出してきた。それは合併や吸収を繰り返すことで、力も増した結果でもある。仕入規模が大きくなれば、仕入単価は安くなるし、メーカーや仕入元への発言権も強くなる。よって、大きいところはますます競争で優位になり、弱小な販売店は淘汰されていく。

 街の電気屋に関して言えば、これまたとても大変な状態にある。ところが、テレビの地上アナログ波終了に伴う、テレビの買換需要を考えれば、まだまだ十分存在意義があるのではなかろうか。量販店から持ち帰ったり、宅配で届くテレビを私達は易々とセッティングするが、そうもいかない人々もとても多いはず。地上デジタル波やBS、CS用のアンテナとなると、消費者が自分でなかなかできるものではない。既にUHFアンテナがある場合でも、アンテナの向きを動かす必要がある場合もある。

 このように、地上デジタル波対応テレビの需要は、家電販売店において大きな転換点になるだろう。ただ、街の電気屋がこれにより一部活況を取り戻したとしても、これに続くネタがない。

(秀)