第140話 ■忍者

 封切りの翌日に、映画「梟の城」を見て来た。CGがふんだんに使われ、凝った作りになっているが、かなり長い原作を映画化したためであろう、話の背景の説明が不十分であるため、人物の相関を十分に描いているとは言い難かった。有名な作家の作品やベストセラーを映画化すると、どうも原作に負けてしまっている作品が多い気がする。それと、映画産業が元気でないため、本来その様な適正や能力を持っている人が、アニメやテレビに流失してしまっている。

 まあ、映画に関する話はまた別の機会で書くとして、忍者の話に戻ろう。昭和30年代の終わりから40年代の初めに子供向けの忍者ドラマやアニメが数多く作られている。私の記憶にあるそれらは再放送によるものだ。そして、その多くのストーリーや設定はほとんど覚えていない。ただ、それでも「サスケ」と「風のフジ丸」の歌は覚えている。それに、「フジ丸」のエンディングに忍法の解説コーナーというのがあったことも。解説者(忍者研究家?、末裔??)と若い女性のやり取りで、武器の解説や映像を使って、壁のよじ上りや水とんの術、水蜘蛛(水上歩行機具)などを紹介していた。忍者刀はまっすぐで、鞘の底には穴が開いている(水とんの術に使うため)ことはこのとき学習した。学習したと言ってもそれが何の役にも立っていないのはもちろんのことである。

 そして、これらの忍者ブームを締めくくる作品と言えば、やはり「仮面の忍者赤影」であろう。時代錯誤なヘアースタイル。大掛かり、しかしチープなバレバレの特殊撮影と、きわめて斬新な作品であった。最初は時代考証もかなり忠実であったらしいが、後半は空飛ぶ円盤が出てくるなど、SF時代劇の様相を呈していた。忍者であるため正体を隠す目的で仮面を着けているのだろうが、それが赤では目立ち過ぎる。あの仮面が欲しくて、兄にボール紙で作ってもらったりもした。まねして刀を背中に背負ってみたりしたが、手が短いので刀を抜くことができなかった。

 本当の忍者というのは実に地味だったはずだ。「少年忍者(ジャニーズ事務所)」もかつては追っかけがいるなど、隠密としては愚行をおかしてたりしたが、最近はテレビなどに露出していない。これは身を潜め本来の隠密に戻ったからであろうか。(そんなはずはない)