第1408話 ■私的・小景異情

 親戚に不幸があって、急遽クリスマスの3連休は郷里・佐賀に帰っていた。2年振りの帰省であるが、街は相変わらず寂れていた。午前中に連絡があって、午後に出掛けるという慌ただしさの中、荷造りをする中身は、着替え等の他にポータブルAVプレーヤー、モバイル端末、ウォークマン、これに本などを入れる。パソコンを持っていくべきかずいぶん悩んだが、今回パソコンは持って行かないことにした。

 帰省した際に困ることが大きく2つ。老夫婦二人が住む実家には自動車がない。このため、日常的な移動手段は自転車、ママチャリとなる。このママチャリで東へ西へ、そして北へ(南には用はない)と寒い中を奔走する。家族揃って帰省した際は着いてからレンタカーを借りたりもした。好きなときに移動できる気軽さはあるが、それほど出掛けるところもなく、結局高いだけの支出に終わった。それ以来、タクシーを使用するようになった。まず、レンタカーの費用分タクシーに乗ることはない。結果安上がりである。しかし、今回は一人だからそんな贅沢もできず、ママチャリでの移動となった。

 それとインターネット回線がないのにも困った。これがパソコンを持って行かなかった理由であるが、丸腰の状態がどうも気持ち悪い。こんなにパソコンに触れない時間があるのは、とんと記憶にない。モバイル端末でメールは読めるし、ホームページを見ることも、まあ何とかなる。原稿も書くこともできる。けど、ブログの更新がモバイル端末ではページが正しく表示されないので、できない。そして、精神衛生的に良くない。パソコン依存症ということなのだろう。

 こんな感じの不便さから、実家に帰るたびに、早く自宅に帰りたくなる。飛行機の場合は東京近郊の夜景が、新幹線なら品川からの山手線の風景と鉄道唱歌のアナウンスが心を穏やかにしてくれる。乗り換える電車の人ごみもこんなときにはちょっと心地良い。

(秀)