第1461話 ■放送事故

 今はほとんど目にすることがなくなったが、私が子どもだった、30年近く前はテレビの放送事故というものが結構頻繁に起きていた。地方のローカル局だったからか?。数ヶ月に一度くらいのペースで起きていたと思う。

 突然画面が乱れたかと思うと、カラーストライプのテストパターン映像が流れ、ピーという耳障りな音を発したりした。そしてしばらくすると、カラーテレビなのに、モノクロの静止画像が現れ、子どものイラストとともに、「そのまましばらくお待ちください」の文字。

 この「そのまま」というのが子どもには謎である。動きも止めて、ジッと気が付いたら息まで止めていて、慌てて大きな息をする。「しばらく」というのもどのくらいか悩む。ただ、その頃はチャンネルを替えるでもなく、ひたすら回復を待った。この間、このパターンでは音声は無音であった。

 この他には、多分これは前述の時期からは数年経ってからだと思うが、花畑の動画に「そのまましばらくお待ちください」の文字が表示され、イージーリスニングの曲が流れていた。ここまで来ると、手動で誰かが表示を出しているのではなく、ボタン1つを押せば、自動で流れるシステムが構築されていたのではないかと推測する。

 放送事故で放送が途絶える時間が短ければ良いが、これが長引いてしまい、見たい番組の途中が欠けてしまうような事態はつらかった。最近このような事故を見かけなくなったのは、放送システムの進歩によるものだろう。当然のことのようだが、実は非常にありがたいことだ。

(秀)