第1474話 ■連続テレビ小説の行方
NHKの連続テレビ小説について。先日、「ちりとてちん」の放送が終了した。珍しく、私も見ていたし、周りでも今回だけは見ている人の話も多く聞いた。これなら視聴率も結構良い線いっているのではないかと思っていたが、終わってみると平均視聴率は歴代最低とあって、驚いてしまった。話題になっていると思っていたのは、NHKからの雰囲気に騙されていたわけだ。いや、それにして続編を期待していただけに残念。
このドラマの影響がどれほどあったのかは知らないが、日曜日の早朝寄席の動員数は出演者が二ツ目でありながらも、毎週200人近く入る程になっていた。このドラマが始まる前はこの3分の1ぐらいだったと思う。放送が終わってから、この早朝寄席の客の入りが少しではあるが、減少してきている。
さて、続いて始まった「瞳」であるが、ちょうど1週間放送が終わったところだ。栄倉奈々演じる主人公の瞳が月島で、西田敏行演じる祖父と暮らし、養育家庭として3人の里子を育てていくという話である。一方、瞳はヒップポップダンスを趣味としていて、ダンサーを目指しており、彼女や他のダンサーが踊るシーンが全体の1~2割登場してくる。
これまで連続テレビ小説の視聴者というと年配者の女性が中心というイメージがある。いわゆる、昼間に家に居る層である。それに対し今回の「瞳」、ターゲット層に大きなずれを感じる。正直言って、ヒップポップというのが余計だ。年配者の嗜好と全く合致していない。これでは誰に見て欲しいドラマなのかがさっぱり分からない。ヒップポップ好きの若者が見るとは到底思えない。いっそ、挫折してダンサーの夢を諦め、新たな夢を探す若い里親、という方が既存の視聴者には受けると思う。
そもそも連続テレビ小説の視聴率は次第に低迷化を続けている。まあ、それでいても民放のドラマに比べると半年間週6回の放送であれだけの視聴率を叩きだせるのはNHKだからできることに違いない。かと言って、今の傾向に甘んじてもいられまい。
私が思うに、あまり新しい現代を舞台にしたものではなく、視聴者がかつて若かった頃を舞台にしたものの方が視聴者の共感を得て、数字が取れるのではないかと思う。そういう意味で「瞳」は相当苦戦するのではないかと私は予想している。
(秀)
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