第1485話 ■デジカメが受けていた頃

 今から10年以上前の話。世の中にはデジカメなるものが既に登場していたが、まだごく限られた人しか持っていなかった。解像度なんか、35万画素程度で、しばらくしてから100万画素が出たときには、「いよいよここまで来たか」と思ったが、今ではその10倍である。携帯電話にカメラが内蔵される、もっと前の話だ。

 いろいろと楽しいグッズが好きな上司が会社の経費でデジカメを買った。社用で買ったからと言って、社用に使う予定などほとんどない。そこで使う機会は飲み会の場となる。まずは飲みながら、自分たちを撮る。そして2次会のカラオケでは歌っているところを撮る。そしてこれらの写真データを翌日に会社の部門サーバにアップロードして楽しむ。そのサーバのフォルダ名は「激写王」と私が命名した。

 そしてあるときは、他の会社の人と飲む場にデジカメを持っていく。それだけでも十分話題の場が持つほど、当時としては珍しいアイテムだった。またあるときは、お姉さんのいる店にも持っていく。これまた、これだけで十分受ける。「私も欲しい!」なんてこともよく言われたが、そのカメラをあげるわけには行かないし、プレゼントしようにも、それなりに高かった。

 その当時はアナログのフィルムカメラに比べるとおもちゃみたいな存在でしかなかったが、その市場での比率が逆転した頃からのデジカメの普及は早かった。そこには携帯電話にカメラが付いて、デジタルだと手軽に撮る事ができることを多くの人が実感したことも大きく影響していると思う。

(秀)