第1530話 ■寅さんの魅力?

 私の家からは柴又までは結構近い。矢切の渡しまで歩いて行って渡し船に乗れば、そこはもう柴又で、年に何度か散歩がてら出掛けている。「寅さん記念館」は寅さんファンの聖地とでもいうところで、「くるまや」のセットもあって、なかなか面白い。映画「男はつらいよ」に詳しい人なら、さらに楽しいんだろうな。

 さて、今回は寅さん映画の魅力ではなく、主人公の寅さん自身の魅力について考えてみる。彼を支える家族や周りの人々もいろいろと手を焼きながらも寅さんに関わっている。もちろん映画、作り話の世界だ。映画の中では家族でも実際には他人だ。しかも実際の渥美清さんはきちんとした人格者だ。

 一般的に寅さんのような人が家族や親戚といった身内にいたらどうだろうか?。厄介者になっている可能性が高い。それが映画のスクリーンの向こうで、しかも他人としての存在だから、人情家のユニークな存在として成り立っている。作る側も見る側も映画という虚構の中でこそ、寅さんという存在を許容し、楽しんでいるわけだ。

 そして、ただ何事にもとらわれず、気ままに旅に出て行く寅さんに憧れを抱いている人も多いことだろう。

(秀)