第156話 ■サッカー少年

 このコラムは寒風にさらされながら、江戸川の土手で書いている。と、こんな書き出しを予定していたが、本当は良い天気でポカポカとしている。しかし、いずれ寒さに凍え、土手にたたずむ日が来ることだろう。Jリーグ発足時ほどではないが、少年サッカーの人気は今も根強いらしい。長男(小1)がサッカークラブに入ったため、週に1度は送迎と練習見物で江戸川の土手にママチャリで通うはめになった。待ってる間、本を読んだり、コラムを書くには良いかもしれない。これから寒くなることを除けば。

 先日の練習の終わりに子供達にコーチから、あるメダルが配られた。メダルには「全国少年サッカー大会 ’99」という文字と、メダルのスポンサー企業の名前が刻印されている。本来ならば各県大会で優勝し、全国大会に出場した選手に与えられるメダルであるが、そのスポンサー企業に勤めるお父さんがサッカークラブの子供達のために、メダルをもらって来てくれたのである。子供達は大喜びで、そのお父さんに一斉に尊敬の目が注がれる。負けじと私も近くにいた息子の友達を捕まえて「おじさんの会社はワールドカップのスポンサーなんだぞ(これは本当の話)」と、かましてやった。しかし、入場券の一枚ももらうことはできない。その少年はメダルのスポンサーをメダルを作っている会社と思ったらしく、ワールドカップのスポンサーというのも意味が良く分かっていないようで、「おじさんの会社でカップ作ってんの?」とボケてくれた。