第1615話 ■落語CDの雑誌

 以前(第1580話)、隔週刊で発売されるDVD付きの落語の雑誌について書いた。そして今回は別の出版社から隔週でCD付きの落語の雑誌が発売された。今となってDVDの雑誌について書いたコラムを読み返してみると、そのときと今では心境が大きく異なっている。あのときは毎号買おうといった意気込みであったが、実際は特別価格の創刊号を買っただけで、それ以来買っていない。

 実際に毎号毎号、1,500円もの支出が続きそうもないことと、その一方で始めると止められない性分で、しかし、実際にはDVDを見ることが追いつかず、そのまま山積みになるだろうし、雑誌の方も読まずに放置される可能性が高いと思ったのが、早々に購読を諦めた理由である。DVDは1度見たけど、再度見たいとまでは思わなかった。そして、月に3千円も支出するのならば、その金で寄席に行って、生の落語に接した方が良いとも思った。

 それなのに今度はCD付き雑誌の誘惑である。今回は毎号一人(あるいは二人)の落語家を特集している。いずれも名人・上手と言われた人々がそれぞれ十八番を演じた音源をCD化している。いずれも故人で、生でその姿を見ることはできない。DVDがどちらかと言うと初心者向けの作りであったのに対し、CDの方はやや上級者向けと言えるだろう。

 その第一弾が古今亭志ん朝で演目が「夢金」と「品川心中」とあって、大ネタである。とりあえず創刊号は特別価格と安いこともあって、迷わず購入した。そして続く第二弾が古今亭志ん生の「火焔太鼓」ときていて、私の琴線を振るわせる。欲しい号だけ買えば良さそうだが、収集癖を持ち、コンプリート意識の強い私にとっては、それもなかなか難しい。DVDのときの2年間に比べると、CDの方は1年間と気分的にもやや楽だが、また悩みのタネが1つ増えた。最終的な判断は隔週毎回このCDを聞くことができるか、に掛かっていると思う。

(秀)