第1706話 ■総選挙総括2009

 私の選挙予想はなかなか当たらない。民主党が第一党になるのは間違いないものの、私は民主党が単独で過半数が取れるかどうかと見ていた。しかし、実際に蓋を開けてみると、308議席という民主党の圧倒的勝利に終わった。意外にも自民党と公明党の底力はなかった。

 象徴的だったのは、閣僚経験者や党の執行部クラスの相次ぐ落選。それと小泉チルドレンと呼ばれた人々の落選だった。民主党が勝ったと言うよりも、自民党と公明党が負けた選挙だった。熱烈的に民主党が支持を受けて勝利したとは思えないが、票はその積極性や消極性に関係なく、一票は一票である。民主党がうまく与党の批判票の受け皿になったに過ぎない。

 大まかに大勢が判明した後の麻生総理の会見が印象的だった。彼は敗北の原因を表現するのに、「自由民主党に対する積年の不安と不信」という言葉を使った。「瞬間的に私が悪いのではない」という言い訳にも聞こえるが、少なくともこの4年間や、さらに遡っての小泉構造改革の総括としてのノーだった。郵政民営化をして何か良いことがあったのか?、構造改革で何か良いことがあったのか?。小泉チルドレンは国民の負託に応えることができたか?。コップに不満や不安が溜まり、ちょうどそれが溢れたときの総裁が麻生さんだった。

 今頃になって、「(民主党を)勝たせすぎたなあ」とか「勝ちすぎたなあ」と思っている人も多いのではなかろうか?。ここに小選挙区制の怖さがある。得票数と議席数を比較すると、死票が多くなるこの制度はあまり民主的だとは言えない。それを緩和する上での比例区との併用制なのだろうが、復活当選なんて、選挙民が落選させた人が、ゾンビのごとく当選するなんて変な仕組みだったりもする。

 終わってしまった結果はさておき、私としては新たな民主党での政治の枠組よりも、この後の自民党がどうなるのかに興味がある。

(秀)