第1750話 ■定席よりも...

 都内には現在4つの定席の寄席があり、この他にも演芸場が数ヶ所ある。定席というのは年中毎日寄席をやっているところだ。月のうちを10日ごとに上席、中席、下席と区切り、10日単位で出演者が入れ替わる形を取っている。(31日は特別編成)

 私はこの定席の寄席を週刊漫画雑誌のようなものだと思っている。いろいろな作家の作品が集められた形で雑誌のスタイルに成っている。同様に定席には多くの噺家が出演している。昼席または夜席でそれぞれ10人くらいの噺家が登場し、間に奇術や太神楽、漫才、漫談なんてのが入っている。寄席によっては、昼夜の入れ替えがないところもあって、これだと一日中じっくり楽しむことができる。しかし、見ている方も結構疲れる。

 多くの噺家の噺が聞けるというところでは定席は良いかもしれない。ただ、15分単位で次々に演者が入れ替わるのは仕方ないことだが、残念でもある。一人の持ち時間は15分である。登壇してすぐに噺に入るわけでもなく、まずは軽く御機嫌伺いといった感じでマクラを振る。噺の頭に付くからマクラと言う。マクラが噺の伏線になっていることも多い。マクラ5分の噺10分ならまだ良い方で、マクラ10分、噺5分なんて場合もある。

 噺は途中をそぎ落とすことで、時間の調整がやりやすい。また、噺の途中であっても、サゲまで行かずに噺を終わらせることもある。けどそういう噺が続くと、聞いている方はストレスを感じる。最後のサゲへのタイミングを計って準備をし、遅滞なく拍手をしたいのだ。

 じっくりと噺ができるのは昼夜それぞれのトリぐらいとなる。ついでを言うと、定席で掛かるネタは結構偏っていて、やる人が違えども同じ噺を何度も聞かされることがある。例えば、「親子酒」、「ちりとてちん」は頻出。また、季節ネタもかぶりやすい。

 そういうわけで私は定席よりも落語会の方が好きだ。独演会とか二人会という形だ。大ネタをじっくり聞きたい。定席が週刊漫画雑誌なら落語会は単行本といった感じだろう。

(秀)