第1777話 ■江戸を改めて考えてみたい

 そもそも昔から歴史が好きで、時代劇も自ら好んでという訳ではなかったが、親が見ているので、普通に見ていた。水戸黄門は夕方の再放送を何回も見たし、高橋英樹の「桃太郎侍」や「ぶらり信兵衛 道場破り」は子供ながらに、好きな時代劇だった。

 さて、東京に出てきて二十余年。地名の中に江戸を感じるところがある。日本橋であったり、八丁堀であったり。地下鉄のアナウンスでちょっと反応してしまう。東京がかつて江戸と呼ばれていたことは周知のこと。東京と言えば、その範囲は東京都だったり、23区内だったりするが、東京がそのまま江戸であったわけではない。向島なんて、文字通り「向こうの島」だったわけで。

 落語を聞くようになって、改めて「江戸」について興味が出てきた。一言に、江戸と言っても、地理的な観点から言えば、東京とはやはり違う。また、江戸時代と言っても、その期間はざっと260年間におよび、その最初と最後ではやはり経済事情や人々の生活にも変化があったはずだ。特に貨幣価値の変動は時代によって大きく、1両を今の金額でいくらにすべきか、正確に捉えるのはなかなか難しい。

 そこで、好きな落語を通して、時間的な「江戸」と地理的な「江戸」を再構築できないかと思いついた。寄席や落語会で聞く、あの噺はいつ頃のどこを舞台にしたものだろうか?。落語に出てくる登場人物は日々どんな生活を送っていたのだろうか?。落語の舞台となった場所に立ってみたり、今は存在しない地名を、噺を手掛かりに探してみたり。そうすることで、これまで聞いていた噺がより立体的に楽しめるようになるのではないかと思っている。

 幾分涼しくなったら、散歩がてら(、いや自転車で、かな)出掛けてみようと、今からワクワクしている。

(秀)