第1785話 ■理想の電子書籍端末?

 前話のコラムで、自分の使用環境に最も適している電子書籍端末は新Kindleである旨書いたが、何もiPadを否定しているわけではない。正直、現時点での電子書籍端末は日本語コンテンツの不備から、自炊したPDFファイルを閲覧する端末としての性質が非常に強い。iPadはそれ以外にパソコンとしての使い道があるので、まだ救われている。持ち歩くことを想定せず、家の中で使う限りは画面も大きく、バックライトもあって、読みやすさの点ではiPadがやはり優れている。ただ、日常的に電子書籍端末として持ち歩くには、やはり重いのだ。

 噂話では既にiPadの次機種の情報が漏れ伝わってきている。どうやら、薄く軽くなるようだ。大きさ自体はほぼ変わらないようだ。ただ、軽くなるとしても数十グラムの規模ではなかろうか?。それ以外にも、カメラが付くとか、USBやSDカードのインターフェースを持つなんて話も伝わってきているが、信憑性は分からない。多少の希望的観測も入っているやもしれない。その一方で、小型化したiPadのリリースについては、「決まっていない」というアップル社幹部のコメントを扱った情報も出ていた。

 この小型化したiPadこそが、希望的観測から派生したものかもしれない。かく言う私も今のサイズのiPadも良いけど、日常的に持ち歩くには、もっと小さくても良いから、軽いものが欲しいと思っている。具体的には、7インチぐらいの画面サイズで、重さは今のiPadの半分ぐらい、できれば300グラム以下が理想だ。画面サイズが小さくなれば、多少価格も下がるかな、と勝手に想像したりする。

 Kindleももうちょっと、画面サイズが大きいとうれしいのだが。せめてあと1インチ。画面サイズの大きい、Kindle DXというのもあり、確かに重さはiPadよりも100グラム以上軽いが、大きさはiPad並みとなり、価格は約3万5千円。ちょっと現実的な選択肢とは言い難い。iPadのように電子書籍端末以外の用途があるならまだしも、電子書籍専用端末としては値段が高すぎる。専用端末として普及するにはやはり2万円を切った価格帯でないとつらいだろう。

 年内に発売が予定されている、ソニーの電子書籍専用端末も試作機が3機種発表され、画面サイズは最も大きいものでも7インチとのこと。ただ値段が電子書籍専用端末としては299ドルというのは高い!。過日の「ガラパゴス」の機械でもそうだが、何でも普及させるには値頃感というのが大事である。中国産あたりの廉価な端末がいろいろと出てくるのではなかろうか?。Kindle端末も生産地は中国。

 今私が話題にしているのは、蔵書をスキャナーで読み込んで、PDFファイルなどの電子ファイル化したコンテンツを対象としている。当座はこんな感じでの利用がメインになると思っている。将来的にPDFファイルではなく、日本語の純粋な電子書籍のコンテンツが揃ってくれば、表示されているフォントのサイズを変更することができるようになって、端末自体は小型化、軽量化に拍車が掛かることだろう。いくらなんでも、iPhoneでは小さすぎる気もするが。

 今年が電子書籍元年であることは間違いないが、ハードもソフトも、コンテンツも、まだまだ混沌としている。いずれ、「寄らば大樹の陰」として、デファクトスタンダードが決まることだろう。その前に、コンテンツのフォーマットの面でも黒船の来襲がありそうだ。しばらくは最適な環境を求めて、私もいろいろな機械を渡り歩くことだろう。

(秀)