第192話 ■借金ビデオ

 書斎で使用しているビデオデッキが壊れて、先週は修理に出していた。週末に修理が上がって今では元通りなのだが、この間はかなり不便であった。修理料金は11,000円程度と、新しく買い替えるよりは安いのだろうが、修理品を受け取りその足でビデオ売り場を見て、「特価15,800円 10台限り!」なんて赤札を見てしまうと、やはり心が動いてしまう。けど、「ゴミを出さずに済んだ」と、妙な納得をして、家に戻った。

 週末は戻ってきたビデオデッキでたまったビデオを見通しだった。自分の部屋のビデオはなくとも、茶の間のビデオは相変わらずタイマー録画でフル稼動。見なければならないビデオは生産され続け、借金はますます増えていた。中には正月番組や年末のスペシャル番組のラベルが付いたものも含め、30本あまりが床に転がって、その順番を待っている。映画など見始めると2時間近く見続けなければならないので、自然とラベルシールにそう記されたビデオは別の山として積み重ね直される。食べ物の様な賞味期限がないから良いようなものの、録り貯めても、結局見ることなくそのテープに別の番組を重ね録りするような人は、きっと食材を腐らせてしまって、捨てていたりはしないだろうか?。

 カテゴリーで言えば、ドラマが結構厄介である。たまにのんびりと茶の間でくつろいでいたりすると、そのドラマが始まったりする。始まってしばらくして、自分が知っている話と辻褄が合わないことに気が付いた。「この前の回、まだ見てないよ」。テレビの中の役者はそんなことにはお構いなしに、淡々と演じている。「ねえ、こいつは何?」。家人に尋ねて納得すれば良いが、そういかないケースが多々ある。特に始まってからの2、3回は。このまま見続けるべきか、今の放送分をビデオに録って、先に前の回のビデオを見るか。しかし、こんな時に限って前回放送分のテープは見つからないようになっている。しょうがないので、放送をそのまま見続けてしまったが、今度前回放送分のテープが見つかった時はどうしようか、新たな悩みが現れる。ついでを言うと、ビデオで前回分の放送を見た後に、さらにその前の回のテープが見つかったりする。これもまたドラマなのだろう。