第1971話 ■一票の格差と死票の問題
選挙が終わった途端に、「一票の格差」問題で選挙を無効とする訴えを起こした弁護士グループというニュースが毎度の如く、今回も聞こえてきた。言っていることが分からなくもないが、私にはこのような動きがヒステリックなものに見えてしまう。実際に選挙権があっても、投票行動を起こさない人々や実際に投票を行っても、議席に反映されない票が多く出る、現在の選挙制度により注目すべきではなかろうか?。
現在の衆議院選挙は「小選挙区比例代表並立制」で行われている。「比例復活」なるルールに、最初の回は違和感を感じた。私の郷里の県の例では、自民党と野党の実質直接対決で、毎回熾烈な戦いを繰り返し、勝ち負けが頻繁に入れ替わる感じだ。しかし、負けた方の候補者も結局は比例復活を果たして、県選出の代議士の顔ぶれはここのところ変わっていない。これでは緊張感が足りないし、有権者の熱も冷めてしまい、「どうせ、投票に行かなくても...」という気持ちになりかねない。
今回の衆議院選挙では、自民党が圧勝した結果となったが、比例区に投票された政党別の得票数を見てみると、自民党の獲得票数とそれ以外の政党の得票数の合計数を各ブロックごとに比べると、後者の方が多かったり、ほぼ均衡していたりする。全体の半分の支持で三分の二以上の議席を得ていることになる。改めて言うまでもなく、小選挙区選挙で特に顕著になる「死票」の問題だ。
一票の格差の問題のために、都度都度選挙区の区割りを変更することではなく、有権者の意志をできるだけリアルに反映する選挙制度にするのが先決ではなかろうか?。「中選挙区は金が掛かる」などと言われていたが、実際はどうなのだろう?。政党助成金という仕組みに、私的には反対であるが、死票が減ることで、有権者の声が反映されやすくなるのなら、多少交付金が増えたにしても、選挙制度の改革を私は願いたい。
(秀)
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