第1994話 ■自分のルーツを探す旅

 先月帰省をしたが、その目的はいくつかあって、その一つは自分の父親やさらなる直系に関する情報を探してみようというものだった。まず、父親と小学校からの友人という人が存命であることが分かったので、その方に手紙を書いて、父親が亡くなったことを伝えるとともに、これまでのお付き合いに対してお礼を伝えたところ、手紙が届いた日に早速電話が掛かってきた。九十歳を超えていながら実にしっかりとした受け答えで、「是非、会いたいね」ということになっていた。

 帰省の際に早速その方の家を訪ねると、改めてびっくり。とても若く見え、矍鑠(かくしゃく)とされていた。「これが小学校3年生頃の写真」と言って、クラス写真を見せられた。「あなたのお父さんは、これ」。私には似てる気はしなかったが、むしろ自分の息子に似ているような気がした。

 あまり昔のことは話したがらなかったために、父親の人生は謎の部分が多い。例えば祖父母については随分前に亡くなっているのだが、その名前についても教えてもらっていなかった。ところが、数年前に実家をたたむ際に持ち帰った、父の遺品の中から祖父母の除籍謄本の抜粋が見つかった。名前と生年月日、それと死亡した日付だけが書かれていた。

 その資料を手に、今回の帰省の際に郷里の市役所に向かった。祖父母と自分が同じ戸籍に載っているわけではないので、父の戸籍を介して直系の血縁関係を確認後、私が当該戸籍謄本請求の資格者であることを認めてもらった。ただ、旧民法下で作成された戸籍は、家族単位ではなく、一族で一つの戸籍となっていたため、戸籍の筆頭者が祖父ではなく、直接祖父母の戸籍にはたどり着かなかった。

 やや手間は掛かったが、父親が筆頭者となって戸籍を作られた際の元の戸籍の情報から、祖父母の戸籍謄本にたどり着いた。会ったことのない祖父母の情報にちょっと親しみが湧いてきた。更に、祖父母の父母の名前が記載されているので、自分から見たら曾祖父、曾祖母の名前まで分かった。その曾祖父、曾祖母から見ると、私の息子までは直系で五代の血縁が確認できた。祖父母の生年を考えると、曾祖父、曾祖母の生年は江戸時代かと思われる。

 とりあえず、祖父母の情報を探しに来ただけだったために、曾祖父、曾祖母の情報まで調べてみようというところまで、市役所の窓口で頭が回らなかった。もし、曾祖父の戸籍にたどり着ければ、高祖父母の名前の名前が分かることになる。今度の帰省の際に挑戦してみようかと思っている。

(秀)