第2002話 ■年賀状のスピード感

 毎年毎年、やりとりされる年賀状の数が減っていると年初のニュースで伝えている。もう既に驚くようなことではないし、国民の大部分はそれを当然だと受け止め、「年賀状なんて無くなってしまえ!」なんて思っている人も相当いるに違いない。実際、私もそう思っている者の一人だが、まだまだその状況を抜け出せないまま、昨年も年賀状を大急ぎでポストに投函した。

 私の場合、出す枚数は徐々にだが増えていて、届く枚数はそれほど減ってはいない。増えていることは新たなお客様が増えたこととしてありがたい限りだ。また、以前の会社勤めの頃からの年賀状だけの付き合いも続いている。しかし、そんな中、元日に届く枚数が年々減っている気がする。二日は配達を休んでいるようだから、三日に最も多くの枚数が届く。

 出す側として、早々12月25日までに出すのはなかなか難しい。天皇誕生日の祝日をうまく年賀状の作業日にあてれば良いだろうが、クリスマス準備で忙しかったり、まだ締め切りに追われた感がなく、手が付かない人も多いのではなかろうか?。正直、自分もそんな感じだ。

 出す方が遅いと言われればそれまでだが、郵政省の頃に比べると民間企業になってからこの年賀状の配達が遅くなてきているような気がする。別に検証したわけではないし、手元にデータがあるわけでもない。単なる感覚でのこと。ただ実際に年賀状を遅く出す人が大幅に増えたようには思えず(以前とあまり変わっていないのでは?)、にも関わらず、年賀状の配達が遅れている気がしてならない。

 郵便番号が七桁になり、機械のパフォーマンスも向上しているはず。加えて、年々年賀状の総数は減少している。郵政民営化により合理化して、人を減らしたのだろう。民間企業なのだから当然と言えば当然だろうが、結果としてサービスの質が低下してしまっている。特に前年は宅配事業者の幾つかが料金の値上げを行ったが、ゆうパックはとりあえず据え置いた。このため、従来の宅配業者の分の一部がゆうパックに流れて、ゆうパックの配送も従来よりも遅れたらしい。この余波が年賀状にも出ていないのだろうか?。

 年賀状は何かと面倒だし、コストも掛かる。しかし、もらった時の嬉しさや有難味はその面倒さ分プラスされて、メールやLINEなどの比ではない。ただ、ここに来てスピード感のデメリットが顕在化してきた。残念ながら、元日には全体の半数しか届かない状況(もちろん、投函の遅れはあるが)は、デジタルのスピード感からは大きく乖離している。自分が出し忘れた人に返事を出そうにも、届く前に職場で会っている可能性も高い。

 テレビCMを盛んに流したり、デジタルに対抗する手段をあれこれ新サービスでカバーするのではなく、元日にできるだけ多くの年賀状を届けることがサービスの基本だと思う。メールやSNSがよりも自社の合理化の気質がまず攻略すべき相手だろう。

(秀)