第209話 ■娘をよろしく

 先日、同僚と言うか、後輩と言うか、そんな彼の結婚式披露宴に出た。不思議なことに私も含め、新郎の友人達は新婦を初めて見るし、新婦の友達も初めて新郎と顔を会わせる人ばかりであった。仲人のいない式のため、代わりに司会者が「お二人の出会いは飲み会で・・・.」と言うが、お互いの友人にその飲み会に参加した人がいないという、相手を巡っては謎だらけの披露宴であった。お開きの前に、新婦が両親に宛てた作文を自ら読んだ。私はこんなシーンにはめっぽう弱い。「お父さん、お母さん、こんなことがありましたね」、なんてフレーズになると、もうやばい。9歳になる娘の顔が浮かぶ。

 最近の適齢期というのはどんな感じなんだろうか?。漠然と、晩婚傾向にあるのは分かるが、都会ではよりその傾向が強いのは確かだ。かつては女性の適齢期がクリスマスケーキに例えられていた。24、5才が最も売れ行きが良く、それ以降は安売りといったわけだ。しかし、最近では24、5というのは早いうちに入るような気がする。女性が晩婚となると自然に男性も晩婚傾向になる。そして、一方では(男性の)年下ブームなるものもやって来た。

 女性がきちんと仕事を持って自立していくには、都会は何かと好都合である。女性が結婚を決意する際に秤に掛けるのは相手の男性よりも、むしろ自分の将来設計かもしれない。仕事を続けるか、子供をいつ産むか、生まないか?。もちろん、結婚しないという選択肢もある。仕事を辞めるとなると、自由になる金はいきなり少なくなる。共働きとなると、家事の負担はやはり女性に大きい。田舎の方がそのような悩みのタネが少ないため、結婚は早くなる。結婚したい男性は地方都市(あまりにも田舎は嫁不足)に暮らすのが良いかもしれない。

 「娘をよろしく」というのは、テレビ番組の名前である。西条凡児の司会で、「凡児の娘をよろしく」というのが正式タイトルである。ところが、西条凡児が何者かは私にもよく分からない。婚約中の花嫁とその父親が出てきて、凡児が彼らにインタビューする内容の視聴者参加番組であった。番組の終わりには凡児が「おみやげ、おみやげ」と言うが、それが一時流行した(全国放送ではなかったらしい)。そして、この番組のウリは出場者への新婚旅行のプレゼントであった。私の友達の中には当時小学生でありながら、この番組で新婚旅行に行き、帰って来たら「新婚さんいらっしゃい!」に出ると言っていた。彼も無事、結婚している。番組には出なかったけど。