第262話 ■ミドリシマ・タネオ

 今日は朝から子供のドッジボール大会を見に来ている。小学校の授業などでやった、ドッジボールと基本的には同じであるが、競技としては厳格なルールが存在する。まず人数であるが、内野9人、外野3人の合計12人で一チームとなる。内野のコートの広さは10メートル×20メートルで、真ん中にセンターラインがある。外野はそこから外周2メートルが守備範囲で、ボールを後逸してしまうと相手ボールになってしまう。1セット7分の2セットで競技は進められる。

 驚いたことに、審判が六人もいる。主審、副審、それに線審がコートの四隅に立っている。他のスポーツでこれほどの審判を要する競技など、ちょっと思いつかない。スタッフはこれだけでない、計時係と記録係も欠かせない。記録係は試合の開始時や中断の前後に、内外野にいるそれぞれの選手の背番号を記録しなくてはならない。作戦タイムのように選手がコートを出入りとなると、その度にこの手続きが行われる。かなり面倒だ。しかし、これだけ審判がいてもミスジャッジや判定に対する不満はあとを絶たないらしい。

 すいか割りにも厳格なルールが存在する。棒の素材と長さ、スイカまでの距離、スタート前の回転の向きや回数も決まっている。きっと目隠しの布に関しても細かな定めがあることだろう。そのルールを制定し、普及促進を目的とした団体がある。正式なその団体の名称は忘れてしまったが、代表者の名前は「ミドリシマ・タネオ」(だったと思う)。「ミドリシマ・タネオ」。苗字を漢字にすると、「緑縞」となる。この団体が発行するルールブックには代表者、緑縞氏の顔写真として、ハロウィンのカボチャの如く、目鼻口がくり抜かれたスイカの写真が載っているらしい。彼らがどこまで本気なのかは分からない。