第29話 ■コレクション

 現在はほとんど無趣味状態の自分であるが、やや変わった収集癖がある。あるカテゴリーに深く、集中して傾注しているわけではなく、雑多で、その道の上級者からは相手にもされないような集め方かもしれない。そのテーマは「今ではなかなか手に入らないもの」。金を持って決まった場所に行けば買えるものには振り向きもしない。ローレックスの時計などはこの類である。だから、ローレックスもオメガも持っていない。その代わりと言ってはなんだが、世界初の電波腕時計を持っている。また、一時期に物不足や限定生産で並んでも手に入らないような物にも魅力を感じない。努力は認めるが、あまり知的な活動ではないからだ。コンビニで売られている300円の「たまごっち」を見ると哀れである。

 さて、自慢のコレクションは数々あるが、そのほんの一部を紹介しよう。雑誌である。まず最初は「Gao!」創刊号。これは学研の「Bomb!」の姉妹誌として、’85年に出され、2号が出なかった。続いては「上級生」創刊~3号。これは「Momoco」の姉妹誌として、同じく’85年に出され、3号で終わってしまった(実は「上級生マガジン」として、その後しばらくは続いていたことを後日確認した)。余談だが、「Momoco」も「Bomb!」の姉妹誌。路線は「GORO」の線であった。「Gao!」はおもしろくなかったので、即廃刊はうなずけるが、「上級生」の方は結構しっかりした作りで、廃刊は残念だった。かなりなレア物+知名度がないため、神田ででも探し出すことは困難だろう。ニーズもないだろうから、値段も付かないと思う。

 最近の例では’97年に出された、先代の「週刊アスキー」(一度廃刊になったが、しばらく後に、従来の隔週雑誌「EYE COM」がリニューアルされ、「週刊アスキー」として現在に至る)。創刊から廃刊までの全18冊を持っている。これは前述の2つの例のように偶然廃刊になったわけではなく、創刊号を買って、「3ヶ月もつかな?」との判断の下、根気比べに勝って得たコレクションである。買うこと自体が目的のため、後半はほとんど読んでいない。結果、当初の予定より勝負は長引き、5ヶ月におよぶ戦いとなった。このような努力は自分がおもしろがっているだけで、市場的には何の価値も持っていない。勝負は着いたものの、その勝利の証拠品は捨てるわけにいかず、書斎がますますおもちゃ箱と化して行く。