第294話 ■ある、ある、ある、ある
- 2000.06.29
- コラム
「クイズ!100人に聞きました」というクイズ番組があって。確かこの番組は昭和50年代の後半に月曜日の夜7時からTBS系で放送されていた。司会はご存知、関口宏。テーブルに肘を着いて話す仕草はこの番組のときからである。そう言えば、彼の前頭部に白髪が目立ち始めたのもこの頃からだった様な気がする。実はこの番組、ゴールデンタイムに進出する前に日曜日の昼間から放送をしていた時期がある。内容はそのままで、その時のタイトルは「家族対抗クイズ合戦」。これでは家族が出て来るのは分かるが、どんなクイズ番組なのかが分からない。
「問題。○○(これはアンケートに答えてくれた人々のプロフィールが入る)100人に聞きました。答は□つ。※※と言えば何?」というのが、出題パターンである。アンケートの回答を答にしてしまう、何とも安上がりで御気軽な番組である。クイズと言いながら、知識よりも自分がいかにアンケート回答者の多数と同じ平凡な回答ができるかの勝負である。もちろん、少数意見は切られてしまっている。
クイズ中に回答者が答えると会場の応援団からは「ある、ある、ある、ある」という声が掛かる。相手チームの応援団の品が悪い場合は、同時に「ない、ない、ない、ない」という声があがる。この番組の面白さは回答者のあまりにも「それはないだろう」といった回答が飛び出すところにある。それでも応援団は「ある、ある」コールをして来るときの会場の雰囲気が妙に笑える。あまりにも平凡な家族が淡々と勝利していくシーンは全く面白くない。たまに、ボケたオヤジがとんでもないことを答えることがある。それを見逃してはいけない。こんなシーンがあった。「答は○つ。昔よく遊んだ懐かしい遊びと言ったら何?」。回答権がまわって来たそのオヤジは「めんこ」と答えるつもりが、緊張して、頭に「お」を付けて叫んでしまった。「ある、ある、ある、ある」。あるわけねえだろう!。
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