第308話 ■トイレの落書き
会社のトイレには落書きがない。ほとんどの会社もこうだと思う。使用する人間が比較的限られた場所だからというのが理由として考えられる。上司や同僚の悪口を書くには相当の勇気がいる。しかし、比較的多くの人が利用するところでありながら、百貨店やホテルのトイレにも落書きはない。そこに集まる人の階層が落書きをする人達でないということだろうが、それにいつもきれいに手入れが行き届いているという要素が加味されねばならないだろう。そういう意味では駅や公園の公衆トイレは落書きの宝庫である。少しでも落書きがあれば、路上駐車のように同調する心理の存在も影響しているはずだ。
一概に落書きと言っても、街の壁などのそれとはメディアとしての性質が違うということだろう。トイレで「○○参上!」というのや相合い傘の類の落書きをあまり目にすることない。だいたいトイレの落書きというのは卑猥なネタのオンパレードと決まっている。そんな中、「まあ、座れや」というのは洒落としては秀逸である。それにしても、そんなタイミング良く筆記用具を持っているものだろうか?。それとも落書きが目的で中に入るのか?。
あるニュースキャスターが東芝クレーム問題のときにインターネット(のホームページ)をトイレの落書きと例えたらしい。かつては彼も敏腕なジャーナリストであっただろうが、年を取って焼きが回ってしまったようだ。こんな多事争論オヤジよりもコラム太郎の方がITに関しては頼りになる。しかし、トイレでインターネットというのはおもしろいかもしれない。ホテルなどではそんなトイレが出て来るかもしれない。我が家も常時接続に無線LANが実現できたときは、トイレの落書きの如く、コラムをアップロードしているに違いない。
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