第334話 ■合い言葉は勇気

 今クールのドラマも残りの放送回数が2、3回となり、山場を迎える状況になった。Webでアンケートを行う際に数えてみたら、今期は8本を見ていた。ちなみに先クールは9本。結構見ている。今期はあまり展開でドキドキするものや、深く感情移入するような作品はない。結末の予想もたやすい(当たっているという保証はないが)。とにかく、役者や脚本家で話題になる作品がない。以前にも書いたが、やはりこの季節のドラマ制作には野球中継の存在が大きく影響しているようだ。

 それでも個人的に好きなドラマはある。三谷幸喜脚本の「合い言葉は勇気」がそれだ。氏の作品はかなり細部にわたって凝った作りをしている。ただ、視聴率という観点で見た場合、当りはずれの差は大きい。ストーリの前振りは第330話「きっかけ」を読んでもらうとして、いよいよ裁判が始まった。村人達に弁護士と偽っている、暁仁太郎(役所広司)は法廷に立つために、住民票をここ富増村に移し、原告の一人になるといった姑息な手段に出た。彼は毎回弁護士を演じ、(演説を)一席ぶち、人々に感動を与える。「私が来たからには、もう大丈夫」。「正義がそのことを証明してくれます」。「さあ、勇気を持ちましょう」。と、こんな感じである。

 実は何度か放送を見逃している。録りためたビデオの中に入っているはずだが、まだ見ていない(どのテープか分からない)、というが正しいかもしれないが。そこで、番組の公式サイトを訪れる。便利な時代だ。これまでのストーリーダイジェストと次回放送分の予告が載っている。しかも、テレビ雑誌より詳しい。公式サイトを見るまで気が付かなかったが、このドラマの登場人物には「里見八犬伝」の設定がされていた。「仁・義・智・忠・信・孝・悌」。あれっ?、1つ足りない。「礼」がない。最後に鍵を握る八人目の登場か?。その予想は前回の放送で的中した。「里見法律事務所 斉藤礼」。名刺にはそう記されていた。敵の弁護士としての登場であるが、彼が鍵を握っていることは間違いないだろう。