第353話 ■文房具屋

 学校のそばに文房具屋があることが多い。私の観察によると、小学校の場合は特にこの確率が高くなる。私の通っていた小学校の正門付近には3軒もあった。校内では休み時間に購買部も店を開くというのに。しかし、それ以上に私がひいきにしていたのは通学途中にあった店である。ちゃんとした店の名前があるにもかかわらず、店には大きな「ぺんてる」の看板があったので、誰もがその店を「ぺんてる」と呼んでいた。中にはそれが本当の店の名前だと思っていた子供もいたかもしれない。今もあの看板が残っているのならば、その店は相変わらず、この名前で親しまれているに違いない。

 私の子供達が通う小学校の角にも文房具屋がある。小学校の名前に「堂」を付けた店名で、小学校のお陰で食べていけてるに違いない。旬をめがけて店の窓にいろいろと貼り紙が貼り出される。「名前札 90円」、「紅白帽子」、「なわとび」、「ノートあります」、などなど。「ノートあります」とはあまりにも当たり前すぎるが、いざ、学校から指定されたマス数のノートを買うのは結構大変なことである。スーパーで買おうとしても、子供が肝心のマス数を覚えていなかったりする。学年が進級した直後は特にこの確率が高い。こんなときはこの文房具屋が重宝がられるときだ。「○年の国語」、「□年 算数」と言うだけで、間違える事なく即座に買える。もちろん、子供にも分かりやすく内税。