第372話 ■宇宙猿人ゴリ

 私の記憶が確かであれば、’71年頃「スペクトルマン」というヒーローものがテレビ放送されていた。ヒーロー、スペクトルマンはそのオープニング曲の歌詞をたどると、ネヴュラというの星から地球にやって来ていて、有り難いことに、地球人のために地球を侵略しようしている、ゴリとラー(何とイージーなこのネーミング)と戦ってくれる。ゴリは科学者でラーは間抜けな、いつも失敗を繰り返すゴリの部下で軍人(軍猿?!)である。もちろん、スタイルは猿でかぶりものをしている。これはスペクトルマンに限ったことではないが、宇宙からやって来たヒーローは何を目的としてわざわざ地球人のために怪獣達と戦ってくれるのだろうか?。

 番組のエンディングの曲では、ゴリとラーの設定や彼らの野望が表現されている。それによると、彼らは惑星Eを追放され(理由はクーデターの失敗らしい)、自分達の居場所を探している時に地球を見つけて侵略を仕掛けて来たことになっている。具体的な歌詞としては、「惑星Eから追放された、このくやしさは忘れはしない。宇宙を旅して目についた、地球を必ず支配する」と歌われている。八つ当たりと言おうか、地球人にはまったくもって迷惑な設定である。

 この番組は当初「宇宙猿人ゴリ」というタイトルで、彼ゴリが主人公だった。しかし、その後「宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン」というタイトルに変わり、挙げ句には「スペクトルマン」に変えられてしまった。惑星Eどころか、タイトルからも追い出されるとは何とも哀れである。

 さて、番組の設定やストーリーに関する記憶は時間の経過とともに薄れて行くが、当時覚えた主題歌は結構覚えている。特にメロディラインは。そして、当時の主題歌はその番組のために書き下ろしたもので、歌詞には必ずヒーローの名前や敵の悪組織の名前などのキーワードが織り込まれていた。番組の中身を思い出すには、歌詞をたどるというのが効果的だ。