第376話 ■気さくな地井武男先生

 先週の金曜日は会社を休んで、PTAの行事に参加するため、千葉県の八日市場市に出掛けた。多分、この八日市場市がどこにあるか知る人は少ないだろう。私もこんなことでもなければ足を運ぶことがないようなところである。さて、タイトルにある地井武男氏であるが、これまた知る人も少ないだろうが、この八日市場市の出身ということで、このイベントの記念講演の講師として招かれていた。講演のタイトルは「私の俳優人生で想うこと」。「講師 地井武男先生」と大きくステージ横に貼り出されている。地元では相当自慢の地元が生んだスターのようだ。

 話の内容はPTAや教育などという言葉には一切関係ないものだったが、それはそれ、誰もがそうなると思っていたようで、特に問題にもならない。やはり、仕事の話ばっかりであった。確かに氏が売れていない頃の話は当時の活躍振りを知らないだけにいまいちだったが、後半、「太陽にほえろ」からの話になると会場にも一体感が出て大変な盛り上がりとなった。実は「太陽にほえろ」に刑事役としてレギュラー出演する、ずっと以前、最初の頃の放送でチンピラAという犯人役で出演し、ショーケンに捕まったことがあったそうだ。

 話している方は乗って来るといろいろと話してしまい、案の定、時間がおしてしまった。しかしそれでも氏は、「もう2、3分、時間を下さい」と言って、話を続けた。「これはよく聞かれるんでこういう機会に是非お話したいんです」と言って続けた話は「どっちの料理ショー」でのことだった。「あの番組にはよく出させてもらうんですが、『負けた方も実は食べられるんでしょう?』とよく聞かれます。そんなことは絶対ありません。昼飯も抜いて夜の八時とか九時とかまで掛かって録るんですが、負けたらそのままさようならです」。よっぽど、鮭定食と秋刀魚定食の時の負けが悔しかったようだ。テレビのまんま、きさくな人だった。