第385話 ■ポスト森

 先週末の加藤元自民党幹事長の発言から政局が揺れている。数週前の世論調査の数字から、ポスト森という話題がかなり現実味を帯びて来た。なにしろ支持率20%を割れば政権末期と言われているから。そして、加藤氏の発言は次第に勢いを増している。内閣不信任決議の本会議に「欠席」と言ったかと思うと、「賛成」もほのめかしている。「このままでは来年の参院選が戦えない」と言っていた本人が、解散総選挙を仕掛けるところに茶番がある。一方、主流派は「解散総選挙だ!」と反撃しているが、今選挙をして自民党が勝てるはずないことは誰の目にも明らかである。

 自民党は政権与党であることに存在意義を求め、固執する党である。かつて細川内閣や羽田内閣のときに与党の旨味を再確認したことだろう。そして、与党になるためには社会党とも連立を組むし、首相が取れなくても、与党であれば良いとさえ思ったわけである。このことが今回の騒ぎの結末を予想する上でのキーポイントとなる。まず、私の予想では総選挙はない。いくら不信任案可決で森首相の顔が潰されようとも、これ以上議席数の減少が予想される状況で自民党が選挙にうって出る可能性は極めて低い。もし、不信任案が可決されたら内閣総辞職を選ぶだろう。ところがこの線も私はないと思う。もし票読みの段階で不信任案可決となるならば、採決を経ず(不信任決議案が提出される前かもしれない)に内閣総辞職となると私はみている。

 で、ポスト森の動きであるが、その前に加藤氏が首相になる前提というのは、円満に政権が禅譲される場合ぐらいしか考えられない。ところが、今となっては、党主流派から抑えこまれるか、除名または離党となって新党を旗揚げするも、かつての小沢一郎氏の二の舞となりかねない。肝心のポスト森は、河野洋平氏が本命。ちょっとひねって小泉純一郎氏を私は挙げたい。そのままでも森内閣は余命幾ばくもないので、加藤氏は次の次に備えてじっくり党内で多数派工作でもやっていれば良かったろうに。

 彼は「国民の75%が支持していない政権を支持するのはいかがなものか?」と啖呵を切っているが、これは、ことあるごとに「お客様」を持ち出す、営業マンや販売員、ことあるごとに「子供達」と言い出す、学校関係者やPTA役員ぐらい胡散臭い。国民の多くが確かにそう思っているかもしれないが、こんなときだけ国民の味方に付いたかのようなポーズを取っても、支持を得られるのだろうか?。小渕内閣の次を狙っていただけに、急な森内閣に相当な恨みがあるのか?。もしそうだとしたら、そんな私怨に「国民」を言い訳にして欲しくない。その程度の器じゃあ、首相の椅子には遠い。さて、私の予想は当たるだろうか?。