第419話 ■成人式は誰のため?

 さて、成人の日が終わったが新聞やニュースでは新成人の傍若無人ぶりがいろいろと伝えられている。数年前からもこのような事態は伝えられては来たが、「帰れ」コールを行う参加者に対し、挨拶中に一喝した知事や会場で酒盛りをする参加者を見て、式への参加をドタキャンした市長など、今年は特に話題が多かった。式典途中の私語やケータイの使用も想像に難くない。彼らの全てがマナーの悪い人たちばかりではないだろうが、こんな若者達が職場にやって来て、いずれ部下になるかと思うと頭が痛い。

 静岡市では記念の植樹式に参加者を公募し、抽選を行ったようだが、当日の参加者のキャンセルが殊の外多かったらしい。主催者側は、「自ら応募して来たからにはもっと参加して来るだろう」と思っていたようだが、それは読みが甘いというもので、「友達が抽選に外れたから自分も行かない」というのが正しい読みと言える。

 そもそも、新成人達は成人式のつまらない話を聞きたいために会場に来ているわけではない。久しぶりに友達に会いたいのと、ついでに晴れ着を見せたいというのが、わざわざ悪天候でも彼らが会場まで足を運ぶ動機の大半であろう。式の途中のケータイでは、「ねえ、どこに居るの?」とキョロキョロあたりを見渡し、お互いの居場所を確認しているのだろう。

 ここまで来ると、「成人式なんかなくしてしまえ」という意見も出て来て当然である。今の状態では税金を無駄にしていることは事実だ。勝手に自主的な同窓会でも開いた方がお互いのためでもある。実際に式典の中止を検討したところもあるようだが、地元の呉服商などの猛反対で中止にできなかったらしい。これでは誰のための成人式なのか分からない。