第526話 ■プラモデル

 折りからのスーパーカーブームの影響もあって、当時の男の子は当然のごとくプラモデルに熱中した。私も例に洩れず、最初にフェアレディ240Z、続いてサバンナRX-3と、スーパーカーブームの割には、かなり控えめなところから買い始めた。当時の相場はモーター付きで定価500円というのが私たちの間では支持されていた。400円で「サーキットの狼」シリーズというのもあったが、これはモーターが別売りであるため結果として割高になるのと、スケールがちょっと小振りであること、それにスイッチ部の設計が悪くて、接触不良をよく起こしたので、私は最初の1台でこのシリーズを買うのを止めてしまった。

 プラモデルの楽しみ方には大きく2通りある。1つはプラカラーを塗ったり、デカールシールを上手く貼って、その出来の美しさを目指すもの。こんな層にはランボルギーニイオタやカウンタックなどが支持された。そしてもう1つは、外観の出来はさて置き、改造なども施し、その走りを楽しむタイプ。私は後者のタイプであった。改造のポイントはモーターを大きいものに変えるとともに、モーター側のギアも刻みの数が多いものに変える。そして、乾電池の数を増やす。出来上がった改造車を持って、家がお寺の友達を訪ね、本堂の廊下を走らせて遊んだ。あんまり勢いが良すぎると、壁にぶつかって車が大破してしまうこともあった。

 プラモデルを買うのは、通学路の途中にある、通称「ぺんてる(第353話参照)」が最も多かった。学校の帰り道に新しいのが入っていないか確認して、家に帰るや買いに走ったりもした。ある日、その店でUFOのプラモデルを売っていた。未確認飛行物体らしく、「1/X(X分の1)」というスケールサイズの表記に何よりも惹かれ、早速買い求めた。確か、600円だったと記憶している。アダムスキー型の円盤ということで、この円盤の名前の由来になっている発見者のアダムスキーさんの顔写真とともに、この円盤に関する説明が箱に書かれていた。中にムギ球を取り付け、付属の置き台セットすると、モーター仕掛けで、くるくると怪しげにその円盤は回転した。しかし、ただそれだけで、改造して回転を速くして喜ぶわけでもなく、すぐに飽きてしまった。

(秀)