第566話 ■仮想ごっこ

 「仮装ごっこ」ではない。仮想だ。ネットの世界はまさに仮想の世界だ。

 「アサヒコム」に「iモード『仮想暴走族』から脱退の少女に暴行 5人逮捕」という記事が出ていた。「携帯電話の『iモード』を通じて結成した『仮想暴走族』から脱退した少女(16)に集団で暴行したとして、警視庁は、リーダーの愛知県内に住む無職少女(16)ら5人の少女を傷害容疑で逮捕した」、と報じている。さらに読み進むと「しかし、だれもバイクや車を持っておらず、主に身辺雑記を電子メールで交換するのが活動の中心だった」とある。メンバーは30人あまりで、全て女性だったようだ。しかし、ネカマ(ネット上で女性を装う男性)がいたりして。仮想だから何でもありだが、これでは仮装になってしまう。

 仮想であれ、「暴走族」と呼ぶにはあまりもお粗末すぎる。確かにグループを「狂翼天使」と名乗ったり、「仲間を裏切らない」「けんかの場合は全力で」などの掟もあったようだが、バイクや車が無いのに、よく暴走族を名乗れたものだ。本人達は本当に自分達を「仮想暴走族」と思っていたのか?。右翼というのは思想上の問題だから、ネット上の「仮想右翼」というのは存在できる。しかし、暴走族は思想ではなく、走ってはじめてそう呼ぶに値するはず。

 単にこれは「脱退=リンチ」という構図から新聞社が勝手にでっち上げた、まさに仮想の暴走族ではないか?。もし、そうだとすれば、記者の頭の中の方が仮想だ。ボキャブラリの問題かもしれない。まあ、「愚連隊」とか、もっと新しい言葉では「チーム」とでも表現できなくもないが、「仮想チーム」では「仮装チーム」の様で何のことか分からなくなってしまうか。あいにく、他の新聞のサイトでこの事件は紹介されていなかった。

 「主に身辺雑記を電子メールで交換するのが活動の中心だった」となると、このコラムの読者に購読をやめる際に制裁を加えたら、秀コラム(「秀孤羅夢」とでも表記しようか)も立派な(?)仮想暴走族になれるかも。「毎日読むこと」、「読者を増やすこと」。ほら、ちゃんと掟もある。

(秀)