第571話 ■「靖国」って何だろう?(1)
- 2001.08.15
- コラム
小泉総理の靖国神社参拝のニュースを知ったのは帰省からUターンで戻る新幹線の(車両の)中だった。「やっぱり!」というのが、最初の感想である。数前日の彼の言動を観察すれば、そのトーンダウンぶりから前倒しでの訪問という線は多くの人にも容易に予想出来たことだろう。しかし、この中途半端な結論は賛成派からも反対派からも批判されることになってしまった。
靖国神社とは明治維新以降、古くは戊辰戦争での戦没者に始まり。政府の命により命を落とした軍人・軍属を神として祀る神社である。そもそもは明治政府の手によって作られた軍国主義の精神的支柱の一翼を担っていた。第二次大戦後、この神社は一宗教法人として現在に至っているが、その存在自体はやはり大きい。それにしても、このように今回の事件が大きく騒がれるのも彼の人気の現れの一つであろう。中曽根元総理の時はこれほど事前に大騒ぎしていた記憶がない。
小泉総理をはじめ、参拝賛成派は「戦争犠牲者に哀悼の意を表し、平和維持を英霊達に誓う」ことを、その理由として挙げている。文字面を追う上では、至極当たり前の言い分である。これに対し、反対派は「政教分離に反している」、「A級戦犯が合祀されている」、「(かつての)軍国主義の象徴である」ことなどをその理由として挙げている。反対派に対し、賛成派の主張は相手方の意見に真っ向から受け答えしているわけでなく、論理をすり替えているずるさがある。
<つづく>
(秀)
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