第580話 ■クレーム、420円の怒り!

 指定された銀行口座にお金を振り込む必要が発生し、妻にそれを頼んで、会社に出かけた。しばらく後に妻から無事振込が済んだ旨のメールが届いたが、「振込手数料に630円取られた」と書かれていた。早速、家に電話をして内容を問いただすと、「ATMでは振り込めず、窓口で支払うように言われたのでそれに従ったら、630円取られた」というものだった。通常この手の振込(3万円未満)はATMでキャッシュカードを使って振り込めば210円でできるはず。早速、その銀行の本店に電話を入れた。

 振込先は実店舗を持たぬ、新興のネット(電話でもOK)上の銀行である。電話に出た女性に、「○○銀行へはあなたのところのATMからは振込ができないんですか?」、と問いただすと、「確かに操作パネルにこの銀行の表示が出ませんが、窓口に言っていただければ、振込カードをお作りしますので、それを使ってATMからの振込が可能になります」との答が返ってきた。
「窓口で聞きましたが、そのような説明は一切ありませんでした」。
「申し訳ございません。それは本店でのことでしょうか?」。
「いいえ、□□店です」。
「それは大変失礼を致しました。今後このようなことがないよう、徹底いたします」。
「余計に取られた420円は返して貰えないですか?」。
「申し訳ございませんが、それはできません」。
「ああ、そうですか」。
「よろしいですか?」。
「もう2度と使いませんから、良いです」。
相手の言葉が返ってくる前に電話を切った。

 電話で説明を受けた内容をメールに書いて、妻に送った。すると、妻はその支店に電話を掛けて、このメールの内容を確認し、窓口の対応が悪くて手数料を多く取られたことに文句を言った様だ。その結果、差額の420円は私の口座に返金してくれることになった。家に帰ると昼間の不満はどこへやら、この顛末のことで妻は饒舌である。

 本店の女性はマニュアル通りの対応をしたにすぎないだろう。「徹底いたします」というのも一時しのぎの回答にしか思えない。支店の担当者はあまりにもしつこいクレームに金を払うことで終わりにしたかったのだろう。お互いの立場が分からぬでもないが、この一貫性の無さ、ごねれば得をするという結果に企業のずるさを垣間見た(きっと自分の勤める会社もそうだろうけど)。私は約束は守る。結果として420円返してもらったとしても、本店の女性に言った「もう2度と使いません」という啖呵は守るもんね。

(秀)