第585話 ■記憶の棚卸し

 秀コラムの開始の動機というか、勝手に決めた使命と言うべきか。そもそも秀コラムは自分の「記憶の棚卸し」を目的として始めたのだった。社会や不正義に対して不満をぶつけたり、滑稽に批判してみるのはむしろ本題ではない。しかし読み返してみて、実にこの分野のコラムが多いというのはそれだけ住むに穏やかでない、世知辛い世の中だということだろう。

 結構他人様と比べると自分は昔のことを覚えているようである。しかしも広範囲に、かつ鮮明に。しかし、このことを誰にも伝えないでおくといずれは風化し、私の記憶どころか、世の人々の記憶からも抹消されてしまうに違いない。そこで、自らの「記憶の棚卸し」を行い、稚拙ながらも文章にまとめてみようと思った。そして読んでくれた誰かに楽しんで貰えればうれしい。

 ふとしたところで、自分のコラムが引用されているのを発見した。Yahoo!オークションに子供用自転車「ドレミ号」が出品されており、その商品紹介に私の書いたコラム(第277話「謎のドレミ号」)が部分引用されていたのだ。最初は「同じ様な人がいるんだなあ?!」としか思わなかったが、「文章の言い回しまで似ている」と思った途端に気が付いた。

 無断引用だったことを別に怒っちゃいないが、お返しに写真を我がWebにて転載させてもらった。私のコラムも誰かの役に立っているかと思うと、やはりうれしい。本来ならば私がこのドレミ号を買い取ってやりたいぐらいだが、25万円では手が出ない。

 ところで、このドレミ号の出品者は私のコラム、しかもこの回の話をどうやって見つけたのだろうか?。読者かな?。試しに検索エンジンで「ドレミ号」と入力してみたら、秀コラムのこの話のページが先頭でヒットした。この人もたぶんこうやって見つけたのだろう。けど、ちょっと笑えた。先頭でヒットするのは気持ち良い。

(秀)