第918話 ■サバイバー(2)

<前話からのつづき>

 前半の団体戦では力のない者がまず落とされるが、個人戦の段階になると、一転して、最後まで残すと面倒になりそうな、力ある者から落とされる傾向にある。これはプロレスのバトルロイヤルに似ている。そして、妙に浮いていたり、目立ったりするのもターゲットになりやすい。

 参加者の中にはいつも決まったキャラクターとして、とうがたった姐御肌の女性というのが出てくる。大体この手は個人戦の段階までは生き残る。かと言って、「追放免除ゲーム」で勝利するようなことはまずない。このため、ゲームが終わった途端に自分の身を守るために、ある者を追放者のターゲットと定め、同調者を求めて策動する。あるときは脅しも厭わない。とてもしたたかである。ところが一方で、この策動に加担した振りをしていながら、その実、スパイでターゲットとなっている者にこの策動を洩らしている者もいる。決まってこの女性は口だけで、自ら働くことをせず、陰ではメンバー達の反感を買っていたりする。

 テレビで見ていて、「次の追放者はきっとあいつだろう」と予想をするのだが、なかなかその予想が当たらない。メンバーの多くから吊るし上げられたり、メンバー間の陰口などのシーンが次々とテレビで流れているからそう思うが、「追放審議会」の結果は別のメンバーを選んでいる。放送の中ではそれぞれの策動のごく一部しから流れていなかったり、まとまりかけた話が、その直後に相手方に洩れて巻き返しを受けたり、裏切ったりする部分が画面に出てこないからだろう。番組としてはわざとそんな編集にしているようだ。「テレビで流れているものは全部本物」という意識で見ていてはいけない。

 最終的には二人が残り、この二人に対してベスト9に入りながらも追放されてしまった7人が陪審員となって、いずれが最強のサバイバーに相応しいかを投票で決める。途中、裏切りなどで追放されていった彼らが陪審員として優勝者を決めるわけだ。ここで選ばれれば、賞金1,000万円を手にできる。ところが、これが本当のサバイバル能力なのか?、この最後の一人が最強のサバイバーと呼ぶに相応しいのか?、という疑問が尽きない。清々しさは一切ないが、このドロドロとした部分が極限状態での人間の心理だと思って見る分にはそれなり楽しめる。

(秀)