第975話 ■ETC普及への道

 国土交通省がこの2日、高速道路などの料金所で止まらずに通行料金を精算できるノンストップ自動料金収受システム(ETC)の対応車が、3月31日現在で約81万台となり、普及率が1%を超えたと発表した。しかしこれには数字のマジックがあって、私のように年にごくわずかしか高速道路を使用しない人はまだ付けているとは思えない。よって、結構頻繁に高速道路を使用している人から普及するわけで、高速道路を走って車を調べると、この普及率はもっと高いはずだ。

 この高速道路の利用している車に限っての数字については料金所の集計で平均4.9%と報じられている。ざっと20台に1台の割合となるわけだ。まだまだ普及に加速度が付くほどの数とは言い難い。国土交通省の目標がどれほどかは分からないが、予定よりも低いはず。これはこのシステムのメリットが上手く訴求できていないからだろう。単に料金の割引などということには留まらない。料金の割引を考えればハイウェイカードを使用すればよい。それでもETCを使用する人々は料金所をノンストップで通過できる点を評価しているはずだ。

 待ち時間なく、混んだゲートの車を横目にノンストップで料金所を通過できるのは確かに気持ち良いもんだ。しかし、その料金所にたどり着くまでの渋滞となるとETCだろうとなす術がない。料金所を過ぎた時点で渋滞がないため、これは明らかな料金所渋滞だ。自分が料金を払う段になってからは非常にすばやいが、そこに至るまでには95%のノンETC車が料金所に向けて道をふさいでいるわけだ。

 他の装備やツールなどと違って、このETCは少なくとも持っている自分だけは気持ち良いというわけにいかない。皆で利用しないとその効果が十分に生かされない。これが今いち普及に弾みがつかない理由だと思う。料金所のおじさんの人件費を機械化することで圧縮する前提で、先行してその恩恵をETC装置価格に還元すべし。普及に伴うコストダウンを単に待っているだけではダメだ。

(秀)