第2039話 ■アイスクリームのスプーン

 カップアイスを食べるときの話。子どもの頃は店でもらった、木のスプーンで食べていた。木のスプーンの味も全体として、そのアイスの味の一部だった。懐かしかったりするが、今はあまり木のスプーンで食べることはない。ハーゲンダッツなどの高級アイスは、以前からプラスチックのスプーンだった。蛇足だが、発売当初のプッチンプリンのスプーンは紙製だった。

 アイスが固いと木のスプーンでは歯が立たない。金属のスプーンですら、カチカチの状態では厳しい。しかし、世の中には「アイスクリーム専用スプーン」というものが存在している。うちにも1本試しに買ったものがある。熱伝導率が高く、手の熱がスプーンを通じてアイスに伝わり、スプーンの先が滑り込む。この感触だけでも楽しめ、すくい上げて口へ運び、もう一度楽しめる。どちらかというと高級アイスが似合う。

 そんなに家でカップアイスを食べることがないので、そんなスプーンのことなど忘れてしまっていたが、今日は思い出した。しかし、キッチンの引き出しを探そうにも、なかなか見つからない。スプーンのところ、フォークのところ、割りばしの下などを見たが、ない。奥の方に、もんじゃ焼きのへらが見つかって、そこに紛れていた。確かに形状がやや似ている??。こんなときに限って、アイスがそれほど固くない。

(秀)