第108話 ■バクダン探し
- 1999.09.21
- コラム
お彼岸である(タイトルに比べてなんとのどかな書き出しだろう)。そのうち、あっと言う間に秋も過ぎ、冬がまたやってくるんだろうな。この前、有線で槇原の「冬が始まるよ」が流れていて、寂しかった。粋ではなくむしろ無粋なのかもしれないが、最近は季節の変化をコンビニで感じるようになってしまった。肉まん、あんまん。それに、おでんといった具合である。そして、近くのコンビニにもおでんがやって来た。
人には味に関しての原点というものがあるような気がする。自分の場合、ラーメンなら、昔よく食べていたラーメン屋であったり。ハンバーガーや餃子、焼きそばに関しても、ここぞという店があり、実家に帰る度にその店に足を運ぶ計画を立てたりする。おでんに関して言えば、駄菓子屋であった。近所の駄菓子屋、通称「こども店」ではおばちゃんが作る様々なメニューがあった。たこ焼き、お好み焼き、かき氷、それにおでん。特におでんの味は秀逸で、鍋を持って買いに行かされ、夕飯のおかずとして食卓に登場することもあった。
「柔道一直線」で高松英郎が演じる車周作が赤ちょうちんで酒を飲むシーンがあった。おでんの屋台である。彼は屋台の親爺に「バクダンをくれ」と注文する。その後、そのバクダンがどんなものか分からないまま随分時間が経ってしまったが、おでんを食べる度にバクダンのことが気になっていた。最近になってついにその疑問が解決したが、バクダンとは、ゆで卵をまるごと練り物でくるんだ、おでんネタであった。それ以来、バクダン探しを試みたが未だ入手できていない。そろそろおでんの季節も近づいて来たので、またバクダン探しを始めるとしよう。参加者募集中。
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