第1133話 ■ドラマ初回の傾向

 4月開始のドラマもだいたい出揃ったところだ。今クール、話題性の大きなキャスティングや脚本がないのは、プロ野球が始まって、比較的各局ともドラマへの力の入れ具合が軽くなっているからのような気がする。

 さて、個々のドラマについては今回はとりあえずよすとして、大まかに最近のドラマの、特に初回放送分の傾向について話をしたい。その前にエンディングについて触れるとすれば、不景気であるため、悲観的なラストは敬遠され、最後にはハッピーエンドというパターンが結構多い。これは恋愛ドラマにおいては特にその傾向が強い。

 しかしながら、最終的にたどり着いたハッピーエンドな状態がドラマ当初の状態と比べて本当にハッピーなのかというと、ちょっと判断が難しい。紆余曲折あって、たどり着いたところは、当初の物質的な豊かさの面で比較すると、マイナスになっていることが多いような気もする。その一方で、その物質的な豊かさを犠牲にしても最終的には心の豊かさなどを得て、めでたしめでたしとなる。

 そこで、ドラマの初回の位置付けであるが、まず主要な登場人物の紹介があり、そして、主人公の環境が一変し、不幸な状況に落とし入れられる。離婚やリストラ、事故、などなど。「起承転結」の「起」の部分で「転」にも匹敵しそうな環境の変化がまず描かれる。これは視聴者を最初から如何に惹き付けるかの手法であり、特に最近はこの傾向が強い。

 まず最初に落として、復活して、主人公が変化していく過程を描いていく。日常の中の非日常はこんな感じで描かれる。物質的なものより精神的な面での豊かさを最終的には得て、とりあえずハッピーエンド。これが最近のドラマの作り方だと分析した。

(秀)