第1178話 ■地震報道
- 2004.10.25
- コラム
最初の地震があったとき、私は車の中にいて揺れが分からなかった。車を降りるや待ち合わせていた人に「地震、地震」と言われた。首都圏は何かと地震が多く、月に1、2度くらいの割合で揺れを感じることがある。最初はその程度のことだと思った。別の場所での地震の揺れが伝わってきたという考えは思い浮かばなかった。
しばらく外部からの情報とは隔離された状態にいたが、遅れてやってきた人に「新潟で地震、新幹線脱線」と知らされた。家に帰ると全チャンネル報道特別番組になっている。各地の震度や鉄道が止まったこと、駅での様子などは分かるが被害の全体像が夜になったこともあり今いちはっきり分からない。停電で暗闇になった街をヘリコプターからの映像を流している局もあった。
ところであのニュースは誰に向けて作られ、流されているのだろうか?。被災当事者は停電だし、それどころではない。被災地以外の人々に事実を知らせたいのか?。しかし、本来情報を最も欲しているのは被災者の人々のはず。それは暗闇の街の映像ではないと思う。家族、知人の安否。また逆に被災地以外に住む人々へ自らの安否を伝えたい。救援のための情報。今何をするべきか?。何かできることはないか?。
何か報道の視点はズレている。いっそ、被災地以外の人々に伝えるのだと割り切っているのなら、私たちが被災地の人々に何ができるかを伝えて欲しい。
(秀)
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